内科全般の知識を学べる教科書を紹介します。「内科全般」といってもレベルは様々で、内科医から病理医まで、求められるレベルは様々です。ここでは、Lv1:病理、放射線診断科など一切の内科管理が必要ない科、Lv2:外科など一般的な内科管理が必要な科、Lv3:内科の3つのレベルに分けて紹介します。
Lv1・・・全ての研修医におすすめの教科書
将来は内科管理をやることはなくとも、せっかくの初期研修である程度学んでおきたい、また当直バイトには行きたいという研修医にもおすすめの教科書。
内科レジデントの鉄則
言わずと知れた有名書籍です。レベルとしても研修医〜内科専攻医レベルはカバーしているので、この教科書でわからないことは知らなくても良いレベルです。読みやすいので研修医の一番初めの内科の教科書として最高におすすめです。迷ったらこれにしておけば問題なし。
オススメ度:★★★★★
タイプ:読み物、辞書
ジェネラリストのための内科診断リファレンス
ジェネラリストのための内科診断リファレンス: エビデンスに基づく究極の診断学をめざして
こちらも有名な内科の教科書です。ただ臨床向けというよりは研修医レポートに使う人が多いです。実際私や同期たちもこれを使ってレポートを書いていました。ただこれがなくても十分レポートはかけるのでオススメ度はやや下がります。
オススメ度:★★☆☆☆
レベル:研修医(レポート用)
Lv2・・・一般的な内科管理ができるようになりたい人向け
内科系志望はもちろん、周術期に一般的な内科管理を要する外科系にもおすすめできる教科書です。
総合内科病棟マニュアル
個人的なおすすめNo.1です。前述の内科レジデントの鉄則以上に網羅性が高く、日本語の教科書としてはかなりup to dateに基づいている印象です。私の研修医時代は旧版でしたが、ボロボロになるまで読み込みました。2021年に改訂され2冊に分かれましたが、中身の信頼性は変わりません。研修医1年目での使用のみを考えると内科レジデントの鉄則の方が読みやすいですが、専攻医以降でも使えるものとなるとこっちです。実際この2冊でほとんどの病棟管理は事足りるので、外科系専攻医にも使ってほしい教科書です。
ただ、ポケットサイズなのに分厚すぎて持ち歩くのには不便なので、いっそのこと大判にして1冊にまとめてほしいというのが本音かも。
旧版も地味におすすめ。総合内科病棟マニュアル
オススメ度:★★★★★
レベル:内科専攻医
自信がもてる!せん妄の診療はじめの一歩
自信がもてる! せん妄診療はじめの一歩〜誰も教えてくれなかった対応と処方のコツ
せん妄は精神科じゃないの?と思ったかもしれませんが、高齢者だらけの入院病棟において、せん妄の患者さんはどの科でも診る必要があるので病棟管理という観点でここに入れました。
現在の制度の初期研修には精神科研修が必修化されていますが、精神科研修で学ぶのはうつ病や統合失調症が主体であり、また1ヶ月で何かできるようになるわけじゃないし、、、と学生実習のように見ているだけになりがちです。
どの科でも診るのにどこでも教えてもらえないせん妄。ただ漠然とルーチンの薬を使ってる方も多いのでは?
向精神薬はなんとなく怖いイメージがありますが、使い方、用量、副作用を把握してから使うのが良いです。専門的なことは書いてありませんが、一般病棟対応ならこれで十分かと。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:研修医1年目〜全ての科の医師
タイプ:読み物
Lv3・・・内科志望向け
内科系、特に総合内科や一般内科外来をやる予定のある人におすすめです。
ホスピタリストのための内科診療フローチャート
ホスピタリストのための内科診療フローチャート 第2版―専門的対応が求められる疾患の診療の流れとエビデンス―
辞書的に使う内科全般の教科書として、前述の内科レジデントの鉄則からワンランク上げたい方はこちらをおすすめします。
タイトルの通りフローチャートになっているのが妙で、日常診療の中で生じる疑問の多くは答えがここにあります。
「鉄欠乏性貧血だから鉄剤補充しよう」と思った時、用法は?いつまで?フォローの間隔は?副作用が出た時は?という、教科書の知識と臨床の間を埋めてくれる存在です。外来を受け持つ内科専攻医には必須と思います。
外科やマイナー科志望にはオーバーワークかと思います。
オススメ度:★★★★☆
レベル:内科志望研修医〜全ての内科医
タイプ:辞書
内科医に役立つ!誰も教えてくれなかった尿検査のアドバンス活用術
内科医に役立つ! 誰も教えてくれなかった尿検査のアドバンス活用術
少しマニアックですが尿検査に特化した教科書を1冊紹介します。尿検査って血液検査に比べて蔑ろにされがちで、解釈も雑だったりすることが多いイメージですが、実は血液検査に劣らないくらいの情報量があります。
潜血+のアセスメントが出来ていなかったり、急性尿細管壊死を理解していない先生は意外と多く、そのレベルから脱却することができます。
もともと薄い上に後半の尿試験紙の活用術はどうでもいい情報なので本当にサクッと読めます。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:腎臓内科、総合内科志望
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