初めに言っておきますがクソ長いです。目次の利用をおすすめします。
この記事では研修医のうちに読んでおきたい教科書を全ジャンルにわたって紹介しています。教科書購入で迷っている方はとりあえずこれだけ読んでください。
自己紹介
まずは簡単に自己紹介を。
私はいわゆるハイパー病院で初期研修を行い、現在は比較的ゆったりとしてた総合病院で働く内科専攻医です。
もともとは循環器内科を目指していましたが、あまりにもカテがきつすぎて挫折。現在はさまざまな内科をローテートしながら、「何でも内科」を目指して勉強しています。
初期研修が終わってからもローテートを続けているいわばネオ研修医のような存在であり、専門未満、非専門以上の広くて浅い知識を持っています。このブログでは何科に行っても役立つ知識を身につけるためにおすすめの教科書を紹介しています。
ちなみにTwitterでは、研修医のうちに知っておきたい「極論」を投稿しています。よければフォローください。@Dharma_ph
初めに言っておきますが、この記事はめちゃめちゃ長いので目次を使って読んだ方が良いと思います。また各分野ごとにもう少し詳細なレビューを書いてますので、詳しく聞きたい方は読んでみてください。それでは行きましょう!
…その前に。私自身が「自分が研修医の時に知りたかったこと」をまとめて、noteにしました。詳細な出展を省いた代わりに、研修医・医学生が知りたい臨床の常識を総合内科医目線で書いてます。ちゃんとした教科書よりすっと安いので、もしよければ読んでみてください。
内科・病棟管理の教科書
Lv1・・・全ての研修医におすすめの教科書
将来は内科管理をやることはなくとも、せっかくの初期研修である程度学んでおきたい、また当直バイトには行きたいという研修医にもおすすめの教科書。
内科レジデントの鉄則
言わずと知れた有名書籍。研修医が100人いたら93人くらいは持っているのではないでしょうか。とりあえず1冊買うならこれ。
オススメ度:★★★★★
タイプ:読み物、辞書
ジェネラリストのための内科診断リファレンス
こちらも有名な内科の教科書です。ただ症候学とか、実際の治療・検査方法とかの記載は少なく、疫学的な内容が豊富です。臨床向けというよりは研修医レポートに使う人が多いです。実際私や同期たちもこれを使ってレポートを書いていました。
オススメ度:★★☆☆☆
タイプ:辞書(レポート用)
Lv2・・・一般的な内科管理ができるようになりたい人向け
内科系志望はもちろん、周術期に一般的な内科管理を要する外科系にもおすすめできる教科書です。
総合内科病棟マニュアル
個人的なおすすめNo.1。「日本語版up to date」と言ってもいいです。EBMを重視している点、実際の用法用量、治療期間、フォローの方法の具体例の記載が豊富な点、網羅性が高い点が優れています。
ただ、ポケットサイズなのにす分厚すぎて持ち歩くのには不便なので、いっそのこと大判にして1冊にまとめてほしいというのが本音かも。
旧版も中古で安いし1冊に収まるので地味におすすめ。総合内科病棟マニュアル
オススメ度:★★★★★★★★★
タイプ:マニュアル
自信がもてる!せん妄の診療はじめの一歩
せん妄は精神科じゃないの?と思ったかもしれませんが、高齢者だらけの入院病棟において、せん妄の患者さんはどの科でも診る必要があるので病棟管理という観点でここに入れました。
現在の制度の初期研修には精神科研修が必修化されていますが、精神科研修で学ぶのはうつ病や統合失調症が主体であり、また1ヶ月で何かできるようになるわけじゃないし、、、と学生実習のように見ているだけになりがちです。
どの科でも診るのにどこでも教えてもらえないせん妄。ただ漠然とルーチンの薬を使ってる方も多いのでは?
向精神薬はなんとなく怖いイメージがありますが、使い方、用量、副作用を把握してから使うのが良いです。専門的なことは書いてありませんが、一般病棟対応ならこれで十分かと。
オススメ度:★★★☆☆
タイプ:読み物
Lv3・・・内科志望向け
ちょっとハイレベルです。内科系、特に総合内科や一般内科外来をやる予定のある人におすすめです。
ホスピタリストのための内科診療フローチャート
辞書的に使う内科全般の教科書として、前述の内科レジデントの鉄則からワンランク上げたい方はこちらをおすすめします。
タイトルの通りフローチャートになっているのが妙で、日常診療の中で生じる疑問の多くは答えがここにあります。
「鉄欠乏性貧血だから鉄剤補充しよう」と思った時、用法は?いつまで?フォローの間隔は?副作用が出た時は?という、教科書の知識と臨床の間を埋めてくれる存在です。外来を受け持つ内科専攻医には必須と思います。
外科やマイナー科志望にはオーバーワークかと思います。
オススメ度:★★★★☆
レベル:内科志望研修医〜全ての内科医
タイプ:辞書
内科医に役立つ!誰も教えてくれなかった尿検査のアドバンス活用術
少しマニアックですが尿検査に特化した教科書を1冊紹介します。尿検査の情報量って少ないよね、と思った方は2流です。私の尊敬する総合内科の先生は、入院時にルーチンで尿検査を必ず出すように耳にタコができるほど言われてきました。きちんとアセスメントできる人が使えば尿検査は非常に情報量が多い検査です。
潜血+のアセスメントが出来ていなかったり、急性尿細管壊死を理解していない先生は意外と多く、そのレベルから脱却するのにおすすめです。
以上です。興味を持った方、もう少し詳細なレビューを知りたい方はこちらも読んでもらえると嬉しいです。
救急・当直の教科書
研修医の間に身につけたいことその2、「当直力」です。
医者として働いていく以上、当直は必ずついて回る仕事です。特に地方の病院ではオンコール制度もない一人全科当直は当たり前で、一人で「何でも」診ないといけません。勿論重症例や迷う症例は近隣の総合病院に送るべきですが、その判断力も含めて「当直力」を身に付けるのは非常に重要です。
どの領域でもそうですが、大事なのは経験の「質」と「量」です。そして救急というのは特に「質」と「量」に差が出やすいです。
ひっきりなしに搬送されてくる救急患者を診ながら、たまにいる一部の重症患者を見逃さずに拾い上げ、合間にwalk in患者を診る。そして稀によくある「walk inでやってくる重症患者」を見逃さない。
忙しい救急外来において、診療スピードが早いことは経験の「量」につながり、経験数が多いことは更なる診療スピードの向上に繋がる。
そして経験の「量」に経験の「質」を掛けたものがそのまま実力になります。
実際、私の研修医時代の同期に(お金が欲しくて)他の人から当直を貰いまくっていたヤツがいました。
私の研修病院はいわゆるハイパー病院で、基本的にはガツガツした人が集まっているので、よく研修医室で当直中に診た症例を共有して議論したり、分からない時には上級医に質問に行ったりという文化がありました。その同期は国試の成績は偏差値40台で決して優秀ではなかったんですが、1年目の終わりにはめちゃくちゃ優秀になっていて、研修医同士の議論でわからないことはソイツに聞く、みたいな雰囲気になっていました。
特におすすめを上げるなら
ハンドブック系 → 当直ハンドブック Ver.2 or 京都ERポケットブック
通読系 → 救急外来 ただいま診断中!
内科救急のレベルを上げたい → ブラッシュアップ急性腹症 第2版、女性の救急外来 ただいま診断中!、誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた 感染症診療12の戦略 第2版
外科系志望 → 骨折ハンター レントゲン×非整形外科医、外傷初期診療ガイドラインJATEC
これだけあれば十分。その上で救急科へ進みたい人、研修医以上の勉強をしたい人にはstep beyond residentがおすすめです。
研修医2年間で身につけるべき最も重要な能力のひとつが救急対応です。救急の教科書はいいものが多く、どの本にも書いてあることは大体同じです。従っていろんな本を読み漁るよりも出典のしっかりした教科書をバイブルとして極める勉強がおすすめ。
その上で、頻度が高い急性腹症や骨折、頭部外傷、また数は少なくとも知らないと対応にこまるマイナーな疾患対応についてさらに踏み込んだ勉強をしていくのがよいと思われます。
ハンドブック系の教科書
超有名な2冊+最近流行の1冊を紹介します。
- 内容の網羅性:当直ハンドブック>当直医マニュアル>>京都ER
- 症候学の考えやすさ:当直ハンドブック>京都ER>>当直医マニュアル
- 持ち運びやすさ:京都ER>当直医マニュアル>当直ハンドブック
- コメディカルにもおすすめ:京都ER>>>他
当直ハンドブック
「当直ハンドブック」は当直のお供に最適な一冊。「現場の疑問を2分で解決する」というのがコンセプト。症候→ABCDE→鑑別疾患→診断→対応という流れをそのまま真似ることができます。外傷、産婦人科、小児領域にも比較的詳細な記載があるのも強みです。
オススメ度:★★★★☆
レベル:研修医1年目〜当直をする全ての医師
当直医マニュアル
当直ハンドブックと並ぶマニュアル系の有名な教科書。
当直ハンドブックと違うのは
「胸痛」のページではなく「心筋梗塞」のページだということ。つまり症候学が省かれているので、
「胸痛の患者さんが来るけどどうしよう!」というレベルの記載は少なく、「心筋梗塞と診断したけどどうしたらいいんだっけ?」というのがメイン。
その分持ち運びやすいので、慣れてきたらこれ1冊を持ち運ぶ方が便利かも。個人的には当直ハンドブックの方がいいかな。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:研修医1年目〜当直をする全ての医師
京都ERポケットブック
上記の当直ハンドブックと比べると有名ではないですが、当直のお供としてはこちらもおすすめ。かなりコンパクトで持ち運びやすく、minimum essenceが凝縮されています。救急外来に携わるコメディカルの方にもおすすめ。
オススメ度:★★★★☆
レベル:研修医1年目〜研修医2年目
読み物系の教科書
ハンドブック系の教科書だけではあくまで「最低限」の対応であり、bestではありません。それぞれの疾患について更に理解を深めるのにおすすめの読み物系の教科書。
レベルとしては
もう困らない
救急外来ただいま診断中!
Step beyond resident
の順にハイレベルです。
救急外来 ただいま診断中!
通読系の教科書としておすすめなのが坂本先生の「救急外来ただいま診断中!」。
会話形式なので読みやすく、サクサク読めるのも勉強を始めたばかりの研修医1年目には嬉しいところ。2年間でこの本の内容をマスターできているか、というのが初期研修ひとつの到達目標だと思います。おすすめ。
オススメ度:★★★★☆
レベル:研修医1年目〜専攻医前半
あなたも名医!もう困らない救急・当直
救急教育では有名な林先生の著書。各症候ごとに基本的な考え方や重要事項がまとめられています。国試が終わってから入職までの間に目を通すと同期と差がつく1冊。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:研修医1年目
step beyond resident
前述の「もう困らない救急・当直」の著者、林先生が少しコミカルな雰囲気で様々な症候・疾患を掘り下げて解説した本。会話形式の内容でかなりわかりやすいですが、レベルとしてはかなり高いです。研修医にここまでのレベルを求める上級医はそういないでしょう(というか上級医もそこまで詳しくない)。1〜8くらいまでシリーズがあり読み物として面白いので、スーパー研修医を目指すなら一度読んで見ては。
オススメ度:★★☆☆☆
レベル:救急科志望研修医〜各科上級医
その他の教科書
骨折ハンター
最高におすすめの教科書です!とりあえず買っとくべき。マジで。
外科系診療科に進むなら骨折の初期診療は避けては通れません。「骨折ハンター」はまさにその整形外科医以外のための骨折診療の教科書で、骨折の初期診療に携わるなら必須レベルの名著です。
まず勉強になるのは身体所見でもレントゲンでもなく病歴で骨折を診断しましょうというコンセプトです。素人の診療では「痛いところのレントゲンを撮る→折れてる?折れてない?」となりがちです。しかし「高齢者の転倒」であればほとんどが大腿骨近位部骨折であり、そこに脚のどこが痛いのかだの下肢が短縮しているかだのは正直どっちでもいいのです。そしてレントゲンで骨折がない時に身体所見で精査をしていくという流れが非常に勉強になりました。またそれぞれの骨には「折れやすい折れ方」があり、骨折線をイメージすることで自然と骨折を見つけることができるようになります。最後にそれぞれの骨折の初期対応、つまり即整形外科コンサルトすべきなのか、後日整形外科受診でよいのか、という判断基準についてもしっかり触れており、非整形外科医にとってはこれ以上ない教科書だと思います。文句なしにおすすめです。
オススメ度:★★★★★
レベル:研修医〜外傷診療に携わる非整形外科医
JATECガイドライン
ガイドラインって網羅性が高すぎるあまり教科書としてはいまいちなんですが、このJATECだけは特別。これ自体を外傷の教科書として十分なクオリティです。
外科系に進むなら読んでおきたいです。また外科へ進む場合は外科専門医を取るのに(必須ではないけど)取りたいみたいです。JATECのライセンスを取るためにはIDが必要なので少し高いけど買うしかないです。
オススメ度:★★★★☆
レベル:研修医〜全ての外科系医師
マイナーエマージェンシー
当直をしていて意外と困るのが、ボタン電池の誤飲、耳内に虫が入った、などの頻度は少ないんだけれどどうしたらよいかさっぱりわからないマイナーエマージェンシー。研修医のうちは上級医がどうにかしてくれる(というものの上級医もどうしたらよいかわからない)はずですが、一人当直の際になにもできずに困る場面に遭遇することは意外と少なくありません。医局に置いておくと最強です。高いですが。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:全ての医師
レジデントノート増刊 マイナーエマージェンシー
前述のマイナーエマージェンシーが流石に高いという方はこちら。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:全ての医師
女性の救急外来ただいま診断中!
暴力的に大雑把な言い方をすると、女性の急性腹症は性別に関係ない急性腹症に卵巣捻転、卵巣出血、子宮外妊娠を鑑別に加える必要があり、この本の「女性の腹痛へのアプローチ」は非常にタメになります。産婦人科志望向けではなく、女性を診察するプライマリケア医が適切に婦人科に繋ぐための教科書です。これをもとにコンサルトしたら「よく病歴取れてるね」って婦人科の先生に褒められました(笑)。
ただし腹痛については非常に良いと思うのですが、ピルや産科領域などについては非専門医が手を出すべきではないという考え方もあり鵜呑みは禁物です。それでも腹痛の章が良すぎるので買う価値あり。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:研修医2年目〜専攻医
タイプ:読み物
ブラッシュアップ急性腹症
名著です。とりあえず買っておくべき。
救急診療において頻度が高く、重症度も高いことが多いのが急性腹症。腹痛→検査→診断というだけでは物足りなくなってきます。
文献的根拠をはっきりと示してくれており、「◯%が手術を要する」とか「予後不良となる可能性が○%である」といった記載が随所に見られます。急性腹症に含まれる各疾患を横並びでなく立体的に理解するのに役立つ名著です。
腹部所見の正しい評価方法は?
腸閉塞ではどんな時外科手術をすべきか?
というような、明日からの急性腹痛診療をすぐに「ブラッシュアップ」してくれます。
オススメ度:★★★★★
レベル:研修医〜専攻医
タイプ:読み物
誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた
突然ですが、「風邪」の定義はなんですか?
うまく答えられなかった人はぜひこの本を読んでください。
本書では風邪を「咽頭痛、鼻汁、咳嗽のを主な症候とする、自然治癒が期待できるウイルス性上気道炎」としており、この3つの症状が同レベルのものが典型的な「風邪」です。
「風邪」を定義することで典型的ではない時はなにを考えればいいのか?つまり「咽頭痛が目立つ場合は?」「頭痛が加わる場合は?」というのが明確になってきます。
COVID-19の流行により診療体制は変わりましたが、本来であれば当直中に最も多く診断する疾患は「風邪」=ウイルス性上気道炎です。今一度「風邪」診療を勉強したい人に。
オススメ度:★★★★☆
レベル:研修医1-2年目
タイプ:読み物
もっと詳しく読みたい方はこちら。
感染症・抗菌薬の教科書
実際に臨床で遭遇する疾患って、半数以上が感染症じゃないでしょうか。そして何かに進んでも、肺炎や尿路感染などのcommonな疾患の管理は避けて通れません。研修医のうちにしっかりと軸を身につけるのが重要です。
プラチナマニュアルまたはサンフォードのどちらか一方は必須で、さらに読み物系の教科書で勉強するのが最適です。
レベルとしては
「絶対わかる抗菌薬はじめの一歩」<「抗菌薬の使い方、考え方」<「レジテントのための感染症診療マニュアル」の順にステップアップしていくといいと思います。
感染症プラチナマニュアル
感染症の教科書おすすめNo.1。まず安い。そしてポケットに入る薄さ、網羅性、根拠となる文献の豊富さ、どれも良いです。とりあえず買っておけば間違いなし。
特徴としては内容が「抗菌薬」、「病原体」、「臓器」とカテゴライズされていることです。読みやすいです。
ICTの薬剤師、臨床検査技師といった感染症に携わるコメディカルにもおすすめ。
オススメ度:★★★★★
レベル:研修医〜内科一般
タイプ:マニュアル
サンフォード感染症治療ガイド
プラチナマニュアルの対抗に上がるのがサンフォード。正直大差ないですがサンフォード派の方がなんかデキるヤツ感があります(笑)。アメリカ仕様なのでセフメタゾールの記載がなかったり、用量が多めだったり。
オススメ度:★★★★★
レベル:研修医〜内科一般
タイプ:マニュアル
レジデントのための感染症診療マニュアル
「青木本」などと言われる感染症界最強の教科書です。感染症内科でなければこれ以上の知識は求められないでしょう。ほぼ辞書です。文献的根拠の豊富さに加えて、筆者の「私はこうしている」というメモが非常にありがたかったりします。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:内科専攻医〜内科医
タイプ:辞書
抗菌薬の使い方、考え方
「考え方」というタイトル通り、ロジックに重きをおいているので一生使える知識・軸が身に付きます。できれば1年目のうちに読んでおくと研修のクオリティが上がります。
オススメ度:★★★★☆
レベル:研修医〜専攻医
タイプ:読みもの
絶対わかる抗菌薬はじめの一歩
まさにはじめの一歩という感じでかなり基礎的な内容。私のTwitterを見てくれている方は、私の投稿くらいのレベルだと思ってもらえるといいです。初学者には良いですが、正直初めから「プラチナマニュアル」や「抗菌薬の使い方、考え方」でよいと思います。2年目になって初めて読んだので「このレベルならそりゃあ絶対わかるよ…」となってしまいました。国試終了後の学生、コメディカルにおすすめ。
オススメ度:★★☆☆☆
レベル:学生〜研修医1年目前半
タイプ:読み物
さらに詳しく
循環器内科の教科書
先に断っておきますが、私はもともと循環器内科を志望して初期研修、後期研修1年目を研修したので、循環器内科については他の領域よりやや難しい教科書を勉強しています。でも優秀な先生ってだいたいやたら心臓に強い気がしませんか?デキレジを目指すのであれば何科であっても心臓に強い方がカッコいいです。
ただ循環器内科はどこの病院でも忙しく、研修医のローテートはカテの助手第二助手三昧になりがちです。意外と「一般内科でも役立つ循環器の知識」を身に付けるのは難しいんですよね。そういう時、上級医に「教科書的な知識はありまっせ」とアピールすることができれば、踏み込んだ勉強ができると思います。座学が役立つ領域です。長いですがぜひ読んでください。
循環器全般の教科書
極論で語る循環器内科
各診療科を回るときにどれもおすすめの「極論で語る」シリーズですが、中でも循環器内科はクオリティが高いです。
循環器の世界ってカテ(虚血)の世界にばかり目がいきますが、右心系、不整脈、弁膜症など様々な領域があります。それぞれの最低限の知識を「極論で語」ってくれます。ローテート前に読むのがオススメです。
オススメ度:★★★★★
レベル:循環器志望でもそれ以外でも
タイプ:読み物
各科ローテ前に読むと捗る「極論で語る」シリーズも紹介しておきます。
※私が実際に読んだのは循環器内科の他は消化器内科、腎臓内科の2冊ですがどちらもおすすめ。他は読んでないので評価できませんが。
https://amzn.to/3w8YcKH
心不全治療薬の薬の考え方、使い方
高齢社会の日本は「心不全パンデミック」と言われているくらいで、何科に進んでもある程度の心不全治療の知識は求められます。この教科書は数多くの心不全治療薬のエビデンスを解説しており、「なぜこの薬を使うのか?」がわかります。
例えば、、、
サムスカは利尿の効果があることも、利尿が心不全の予後を改善することも証明されているのですが、サムスカ自身が予後を改善するというエビデンスはありません。
全ての内科医にオススメです。
オススメ度:★★★★☆(内科志望以外にはオーバーワーク)
レベル:循環器内科志望〜一般内科
タイプ:読み物
不整脈治療薬ファイル
抗不整脈薬ってなんか怖いイメージがありますよね。この本の中でも言及されていますが、慣れていない薬は安易に使うべきではないのも事実です。多くの研修医はまともに抗不整脈薬を使えないまま研修を終えてしまうことが多いですが、上級医の指導のもとで使用経験を積める研修医時代は実は貴重な時間だったりします。
ここまで抗不整脈薬に特化した教科書は他になく、抗不整脈薬の勉強には強くおすすめできます。ただ非循環器内科医はとりあえずオノアクトをつかっておくべき感は否めないので、循環器内科や心臓血管外科、集中治療に携わる科以外にはオーバーワークかもしれません。
オススメ度:★★★★☆
レベル:循環器内科専攻医
タイプ:読み物、辞書
循環器治療薬ファイル
前述の不整脈治療薬ファイルの別バージョンです。心不全の治療薬、不整脈の治療薬を勉強して次に進みたい方におすすめ。ただ不整脈薬治療薬ファイルほどの「オンリーワン感」はなく、極論で語る循環器内科+心不全治療薬の考え方、使い方で十分だとは思います。
オススメ度:★★☆☆☆
レベル:循環器内科専攻医
タイプ:読み物、辞書
心エコーの教科書
非循環器医に求められる心エコーは、①ERでスクリーニングできる技術、②レポートを見て心機能を適切に評価すること、の2つです。
①についてはひたすらたくさんエコーを当てるしかありません。できれば循環器内科の若手の先生に聞いて言われたスクリーニングの順番をひたすらやりましょう。
そして②については座学での勉強が必要なのでそのための教科書を紹介します。
そうだったのか!絶対わかる心エコー
非循環器内科医に求められる心エコーのレベルは高くないので、読みやすいこれがオススメです。
オススメ度:★★★★☆
レベル:研修医〜循環器内科専攻医
タイプ:読み物
レジデントのための心エコー教室
「レジデントのための」と書いてますが、最新の知見が盛り込まれたハイレベルな教科書です。
オススメ度:★★☆☆☆
レベル:循環器内科専攻医
タイプ:読み物
国循・天理よろづ印心エコー読影ドリル
問題形式の心エコーの教科書。弁膜症の詳細な診断のための勉強ができます。循環器系志望以外にはオーバーワークだと思います。一般内科だけど弁膜症のことも理解したい!という人にはいいかも。動画を見て答える問題です。かなり難しい。
オススメ度:★★☆☆☆(循環器内科、心臓外科、心臓麻酔をやる麻酔科医向け)
レベル:循環器内科専攻医
タイプ:読み物
冠動脈造影の教科書
冠動脈造影(CAG)はある程度読める状態でカテに入らないと、早すぎて全くついていけません。
画像が出ると一瞬で「○○番だね〜」とか「うーん○番どうする?」とかの議論が行われ、知らぬ間に治療が進んでいきます。その時に○番がどこを指しているのか分からないとさっぱり楽しくありません。
そうだったのか!絶対読めるCAG
循環器志望でカテの勉強をしたいなら、PCIの教科書を読むべきであり、今回はそのレベルは対象としていません。心臓外科医や熱心な一般内科医、循環器志望の研修医がカテ所見を読むための最初の教科書としておすすめです。実際のシェーマを見ながら何度も見返すことでだんだん見えるようになってきます。
オススメ度:★★☆☆☆(カテに携わるコメディカルにもおすすめ)
レベル:循環器志望の研修医
タイプ:読み物
心電図の教科書
心電図のみかた、考え方
会話形式で読みやすい教科書です。心電図の基本を1から学べます。初学者から始めても一般内科医には十分な知識が身に付きます。
コンセプトとして「心電図はあくまで一つの臨床ツールに過ぎない」と割り切っているのが非常にいいポイントです。不整脈の鑑別法、という感じではなく、スクリーニングや救急での心電図判読に強い印象なので、どの科に進むとしてもオススメです。
オススメ度:★★★★★
レベル:全ての科の医師
タイプ:読みもの
心電図の読み方パーフェクトマニュアル
心電図の教科書では最も有名でしょうか。ある程度心電図を読む自信がついてきた頃によく分からない心電図に出くわした時、この教科書で調べるとだいたい載っているので驚きます。不整脈科医志望でなければこの教科書以上の知識は必要ないかと思います。
心電図界最強の教科書だと思ってます。
オススメ度:★★★★☆
レベル:内科志望〜循環器内科志望
タイプ:辞書
心電図ハンター ①胸痛/虚血編
救急の教科書としておすすめしている骨折ハンターの類書で、「非循環器医向け」と割り切っているのが非常に分かりやすいところです。
症状→心電図→対応という流れでの解説なので、実臨床に即しているのが良いところです。逆に言えば無症状の所見(左室肥大、右房負荷など)についてはあまり触れられていないので、その辺まで理解したい人には物足りないかもしれません。
オススメ度:★★★★☆
レベル:研修医〜非循環器内科医、救急医
タイプ:読み物
心電図ハンター ②失神・動悸/不整脈編
失神・動悸編です。読みやすさ、臨床に直結しやすさはそのまま。オススメです。
オススメ度:★★★★☆
レベル:研修医〜非循環器内科医、救急医
タイプ:読み物
3秒で心電図を読む本
実際に3秒で読むかどうかはさておき、スクリーニングとしてどういう見方をするか、ということが学べることで、最低限の心電図の知識が身に付きます。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:研修医1年目
タイプ:読み物
レジデントのためのこれだけ心電図
読みやすく初学者には良いですが、研修医レベルでも「これだけ」では困ります。研修医の1冊目、優秀な学生、コメディカル向けだと思います。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:学生〜研修医1年目
タイプ:読み物
さらに詳しい解説はこちら心電図だけ別にわけてます。
集中治療の教科書
メイン:マニュアル系の教科書
レベル別に分けると以下の通りです。
循環器・麻酔科志望→重症患者管理マニュアル、ICU/CCUの薬の考え方、使い方 ver.2
ICUを頻繁に受け持つほどではないけどしっかり診られるようにはなっておきたい内科志望→ICU実践ハンドブック改訂版〜病態ごとの治療・管理の進め方、重症患者管理マニュアル
ICUローテするだけ→ICU実践ハンドブック改訂版〜病態ごとの治療・管理の進め方
重症患者管理マニュアル
とりあえずICU患者を受け持つ時に1冊持っておくと便利。後述の「実践ICUハンドブック」より知名度は落ちますが、「実際にどうすれば良いか」の記載が豊富です。特に組成例が載っているのが初学者には非常に助かるところです
オススメ度★★★★★
レベル:研修医2年目〜専攻医まで幅広く
読みやすさ:★★★
ICU/CCUの薬の考え方、使い方
タイトルの通りで薬の使い方に重点をおいた教科書。持続点滴の組成や速度の記載があり、研修医が終わってからも重宝します。アレルギーなどの理由でいつも使っている薬剤が使えず代替薬を使う時、組成に困らず使えます。
また同効薬ごとの特徴、微妙な違いについても勉強できるので、ICUの主治医を受け持つなら持っておきたい本です。一冊で全身管理、読みやすさでは上の重症患者管理マニュアルに譲りますが網羅性ではこちらが勝ります。
オススメ度★★★☆☆
レベル:研修医2年目〜循環器系の専攻医
読みやすさ:★★☆
おすすめできる人:循環器系・麻酔科志望
実践ICUハンドブック
有名な教科書です。内容のレベルとしては上記2冊より低いです。初期研修医のICUローテ用として使うのがオススメです。
オススメ度:★★☆☆☆
レベル:循環器系志望以外の研修医向け
読みやすさ:★★★
おすすめできる人:ICUローテートをする人 ICUに関わるコメディカル
各分野の教科書
ICUでは人工呼吸器や循環補助装置などのデバイスを用いた治療が行われており、これらの理解は座学なしでは不可能です。特に人工呼吸器、血液ガスはどの科でも利用できる領域なのでしっかり勉強しておきたいところ。ただ私はここに関してはあまり多くの教科書を読み込んでいないので選択肢は多くありませんのでご了承ください。
人工呼吸器の教科書
Dr竜馬の病態で考える人工呼吸管理
人工呼吸のことを勉強するならこの教科書を選んでおけば間違いありません。集中治療専門医レベルでなければ困らないレベルになれます。
オススメ度:★★★★☆
レベル:集中治療に携わる科、呼吸器科志望の研修医〜専攻医
タイプ:読み物
Dr竜馬のやさしくわかる集中治療 循環・呼吸
上記と同じDr竜馬の集中治療の教科書です。厳密に言えば人工呼吸器だけの教科書ではないのですが、初学者が人工呼吸器を理解するのにはちょうど良い難易度とわかりやすさです。ざっくりと勉強した人にはこちらで十分かも。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:研修医2年目
タイプ:読み物
循環補助デバイスの教科書
VA-ECMO(PCPS)、IABP、LVADといった循環補助デバイスの教科書です。このレベルになると研修医レベルではあまり触ることはないかもしれませんが、麻酔科、循環器内科志望向けに基礎的なものを紹介します(私も精通しているレベルではありません)。CHDFも一応ここに含んでおきます。
こういうことだったのか!ECMO・PCPS
VV-ECMOやPCPSがついた患者さんを受け持つ研修医は稀だと思いますが、理解しておきたい方にはこの教科書がおすすめです。値段も安く薄いのにざっくりと理解することができます。ただ、補助循環装置というのは何が起きているかを想像しながら実際に触ってみないとなかなか理解でできないものです。最低限の理解をして、とにかく(上級医の指導のもとで)触ってみましょう。
基礎から学べますが分野自体がハイレベルなので難しいです。
オススメ度:★★★☆☆(循環器内科志望には★5)
レベル:循環器系志望の研修2年目〜専攻医
タイプ:読み物
同じシリーズのこういうことだったのか!! CHDFもおすすめ。
最新にして上々!補助循環マニュアル
私がお世話になったすごく優秀なCEさんにおすすめされて買った本。
上記のこうだったのか!シリーズは仕組み・理論の理解には良い教科書ですが、実際にIABP、PCPSを触る上ではやや不安があります。研修医で循環器内科ローテートをするだけなら完全にオーバーワークですが、循環器内科志望ならこの教科書がおすすめ。かなり詳しい記載があり、基礎的な内容も多いので初学者からも使えます。
特に波形のアセスメントの考え方が即実践に使えるので、まさにマニュアルとして使用しやすいです。ICU・CCU担当のCEにもおすすめ。
オススメ度:★★★☆☆(循環器内科志望には★5)
レベル:循環器系専攻医
タイプ:読み物、辞書
血ガスの教科書
竜馬先生の血液ガス白熱講義150分
血液ガスの基礎の基礎。とりあえずこれだけ読んでおけば研修としては合格ラインです。わかりやすいしタイトル通り150分で読めます。ただし内容としては初歩的である程度救急外来をやっていたら知っていることしか書いてないかもしれません。国試合格後の6年生におすすめ。
オススメ度:★★☆☆☆
レベル:研修医1年目
タイプ:読み物
さらに詳しく
画像診断・読影の教科書
画像診断、読影の教科書です。まずは結論。
とりあえず研修医に求められるレベルをマスターしたい:CT読影レポート、この画像どう書く?〜解剖・所見の基礎知識と、よくみる疾患のレポート記載例
レントゲンが全然わからないレジデントのためのやさしイイ胸部画像教室[ベストティーチャーに教わる胸部X線の読み方考え方] 改訂第2版
がっつりしっかり勉強したい:癌の画像診断、重要所見を見逃さない〜全身まるごと! 各科でよく診る癌の鑑別とステージングがわかる、消化器 画像診断の勘ドコロNEO(リンクは消化器ですがシリーズものです)
CT読影レポート、この画像どう書く?
今回最もオススメする教科書です。若手放射線科専攻医向けの教科書ですが、「何が正常か」というところを強調することで、「何が異常か」ということがわかるようになります。またレポートを書くという視点で勉強することで、それぞれの画像所見の意義を考える癖がつきます。
オススメ度:★★★★☆
レベル:全ての研修医
タイプ:読み物
レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室
胸部レントゲンの勉強をするならこの教科書がおすすめです。「白くなる病態」か「黒くなる病態」かで分け、レントゲンで白くなるもの=水→水が増える病態ということは、、、というような流れで解説が進んでいきます。特別小難しい解説やごく稀なものについての解説はなく、実臨床ですぐに活かせる内容が豊富です。
オススメ度:★★★★☆
レベル:研修医〜若手専攻医
タイプ:読み物
ちなみに呼吸器内科、感染症内科を目指すような人は 胸部画像診断の勘ドコロ という教科書がさらに深掘りしてていい感じです。
癌の画像診断、重要所見を見逃さない
当直中に肺炎の疑いでCTを撮ったら甲状腺に腫瘤がみつかった、というようなことは結構多いです。そういう時のアセスメントで頼りになる教科書。研修医のうちは基本的に主治医ではないので責任は上級医にありますが、3年目以降にたまたま見つかった腫瘍を患者に伝えていなくて後日訴えられて負けるなどということもありうる。そしてたまたま癌が見つかるということ自体は珍しくなく、臨床で役立つのは間違いない。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:全ての科
タイプ:読み物、辞書
画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン
もともとはレジデントノートで人気のコーナーであった画像診断の部分を単行本した物。脳の血管師範領域や肺血管、気管支分岐についての記載が豊富であり、研修医レベル〜放射線科専攻医レベルまで対応できる教科書です。
解剖を理解することで画像異常見つけられるようになるというのがコンセプトで、研修医1冊目の教科書としても適切です。オススメ度は1>>2。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:研修医
タイプ:読み物
画像診断の勘ドコロneo
ありそうでなかった、臓器ごとの画像診断の教科書です。消化器、頭頸部、泌尿器、婦人科、血管などがあり、自分の専門領域だけでも読んでおくのがオススメです。
オススメ度:★★★☆☆
レベル:専攻医
タイプ:読みもの、辞書
胸部のCT
呼吸器疾患の診断には胸部CTは読影が非常に重要です。読影をガチりたいならこれ。
オススメ度:★★☆☆☆
レベル:呼吸器内科・放射線科志望
タイプ:読み物
さらに詳しく知りたい方はこちら。私自身の読影ルーチンや勉強方法についても話しています。
外科・消化器外科の教科書
初期研修の鬼門ローテート、それが外科。外科志望でもないのに長時間のオペに入らさせられ、カンファでぼこぼこにされる。。。
とはいうものの、内科に進むとしても外科の研修は実は役に立ちます。胆嚢炎のCT所見と手術所見を比較する経験を繰り返すことで胆嚢炎の見逃しは減るし、消化器の術後の経過を診ることで消化器術後患者というだけでビビらなくて済みます。こういった意味で非外科志望の研修医こそ外科研修を有意義に過ごすために座学を頑張ってほしいです。
研修医のための見えるわかる外科手術
研修医向けの教科書として一番おすすめ。各術式の手順が簡潔にまとめられており、処理する血管を覚えておけば、オペ中に上級医から突然「この血管なに?」と聞かれても答えられたりします。外科志望が執刀機会を勝ち取るのには不十分です。オペ看にもおすすめ。
外科志望:★★★★☆
非外科志望:★★★★★
オペ看:★★★☆☆
タイプ:読み物(手術に入る前に該当手術の部分を読んでおく(10ページくらい))
癌取り扱い規約抜粋 消化器癌・乳癌
これ、あまりおすすめされているのを見ませんが、カンファレンスでめちゃくちゃ役立ちます。消化器外科志望なら必須なので早めに買ってしまっても良いかと思います。ちなみに化学療法まで研修医に求めてくる病院は少ないのでケモの教科書は不要です。
外科志望:★★★★★
非外科志望:★★★★☆(上級医から借りれば良さそう)
タイプ:辞書(カンファレンスの資料作成、カルテの読解に)
イラストレイテッド外科手術
外科全般の術式について「やや深く」載っている教科書。消化器外科の手術書はふつうは″胃の手術で一冊″、″ヘルニアで一冊″というものなので、研修医の時点で買って読むのはさすがにオーバーワークだしもったいないです。この教科書は「外科全般」を「広くやや深く」学ことができます。外科の先生によると実は術式としては5年は古いらしいんですが、基本的なことを学ぶにはちょうど良い「やや深さ」だと思います。
外科志望:★★★★☆
非外科志望:★★☆☆☆
タイプ:辞書
外科基本手技+応用スキル
縫合や糸結びの教科書。本気で手術が上手くなりたいなら名著。外科系志望であればおすすめですが、正直このレベルの知識や練習をしていない先生がほとんどです。心外志望向けの印象でした。非外科系志望であれば若手の外科医に聞いた方が早いです。
外科志望:★★★★★
外科"系"志望:★★★☆☆
非外科系志望:☆☆☆☆☆
タイプ:読み物
がん化学療法レジメンハンドブック
外科の先生がよく使用していました。消化器外科医、ケモを担当する消化器内科医になるなら必須と思いますが、研修医レベルでは完全にオーバーワークです。
外科志望:★★★★★
非外科志望:☆☆☆☆☆
タイプ:辞書
ブラッシュアップ急性期外科
前述のブラッシュアップ急性腹症の続編(?)です。
急性虫垂炎の保存vs手術
癒着性イレウスの保存vs手術
といった内容で、前著が初療医の指針なのに対してこちらは外科医の治療戦略がメインです。外科専攻医におすすめですが、イレウスの手術タイミングはエビデンスがどうのこうのというよりもボスの”勘”で決まることが多いのではないでしょうか。このあたりは施設ごとのマンパワーや術後のフォローの仕方などにも影響されるので、内科とはやや考え方が異なるところです。
いずれにしても、前著のEBMを重視した姿勢を外科領域にも持ち込んだ名著と言えると思います。
外科志望:★★★★☆
非外科志望:★★★★☆
タイプ:読み物
外科レジデント&周術期管理に関わる医療者のための 外科周術期 掟と理論 総論編
周術期管理に関わる専攻医・外科病棟やICUの看護師にもおすすめの教科書です。内容としては初歩的なところから始まるので、外科志望なら学生のうちに買ってしまってもよいかもです。
外科志望:★★★★★
非外科志望:☆☆☆☆☆
外科病棟看護師:★★★★☆
腎臓内科の教科書
腎臓内科は内科の中では比較的マイナーですが、「腎臓」という臓器は循環動態を鋭敏に反映しているので何かに進んでも役立つ知識が多いです。腎内ローテをするわけじゃなくても読んでおきたいです。
極論で語る腎臓内科
循環器でも紹介した「極論で語る」シリーズ。
急性腎障害、ってめちゃめちゃコモンなのに、ほとんどまともにアセスメントできる医者がいません(辛口)。これ読んで急性尿細管壊死、糸球体性腎障害、間質性腎障害の尿所見、原因を説明できるようになりましょう。
どの科に進む研修医にもおすすめできる教科書です。改訂で追加された尿路結石が地味にイイです。
オススメ度:★★★★★
タイプ:読み物
レベル:全ての研修医
〜至適透析を理解する〜 血液透析処方ロジック
透析患者を受け持つようになった時にサラッと読んでおきたい教科書。透析の原理、なぜ4時間×週3回なのか、Dry Wightの管理方法、透析時のトラブル対応の基本、といった最低限知っておきたい知識を学べます。まさに「至適透析とはなにか」を学べます。腎臓内科医、泌尿器科医でなくても一般内科医や循環器内科医、透析室で働くコメディカルも読んでおきたい一冊です。
オススメ度:★★★★☆
タイプ:読み物
レベル:初学者、コメディカル向け
レジデントのための血液透析患者マネジメント
透析患者の管理についてもっとしっかり勉強したいならこれ。一冊で比較的広くカバーできていると思います。
オススメ度:★★★☆☆
タイプ:読み物
レベル:中級〜上級者 透析患者を主治医で受け持つレベル 透析室CEさんにも
~所見を「読んで」「考える」~ 臨床医のための腎病理読解ロジック
腎臓内科志望なら、腎性腎不全のさらなる詳細な知識が必要です。常について回るのが腎病理で、これはおすすめです。私自身はオーバーワークと判断して途中で読むのをやめてしまいましたが。
オススメ度:★★☆☆☆
タイプ:読みもの
レベル:腎臓内科志望
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