画像診断の教科書

分野別

画像診断、読影の教科書です。まずは結論。

とりあえず研修医に求められるレベルをマスターしたい:CT読影レポート、この画像どう書く?〜解剖・所見の基礎知識と、よくみる疾患のレポート記載例
レントゲンが全然わからないレジデントのためのやさしイイ胸部画像教室[ベストティーチャーに教わる胸部X線の読み方考え方] 改訂第2版
がっつりしっかり勉強したい:癌の画像診断、重要所見を見逃さない〜全身まるごと! 各科でよく診る癌の鑑別とステージングがわかる消化器 画像診断の勘ドコロNEO(リンクは消化器ですがシリーズものです)

読影の勉強法

個人的な意見として、「早く触れるものから勉強しろ」と思っています。レントゲンやCTは研修医として働き始めてからすぐに触れるものなのでやっぱり早めに勉強をするのがいいです。

日本は施設あたりのCT設備数が非常に多く、画像読影の能力は何科に進むにせよ必須の能力と言えます。救急の教科書を読んでいると、「画像検査を行うべきかどうかのスコアリング」が結構たくさん出てくることに違和感を覚えた人もいるかもしれませんが、日本って海外と比べてCT検査の閾値が低いんです。日本の救急では「あれこれ考える暇があったらさっさとCT撮ろう」という考え方があながち間違いでもないのです。

研修医の初めの頃って上級医の画像読影能力にビビるんですが、2年間それなりに勉強していればそれなりに読めるようになります。これはいろんな人の画像をたくさん見ることによって頭の中に正常所見が構築されていくことによります。

例を挙げると「脾弯曲部の結腸がむくんでるな」とか「肝内胆管が拡張しているな」、「肺に腫瘤があるな」といったレベルのことはそのうち分かるようになります。ただしその所見の病的意義、つまり脾弯曲部の結腸浮腫→虚血性腸炎とか、肝内胆管の拡張がなくても閉塞機転がないとはいえないとか、肺腫瘤のフォロー方針を知るためにはしっかりとした勉強が必要です。

さらに、SMA症候群や膵仮性嚢胞、血管異形などといった珍しい疾患に対応する知識を得ようとするとさらに莫大な勉強量が必要です。優秀な内科の先生だとエゲツないレベルの知識を持っている先生がたまにいますね。

読む順番をルーチン化する

当直で読影する時は呼吸困難なら肺野を、腹痛なら腹部を見て終わってしまいがちですが、見落としを減らすにはルーチン化が重要です。

私の場合はこんな感じです。

主訴の箇所→甲状腺→乳腺→気管支→肋骨→縦隔リンパ節→心臓→肺野→食道〜十二指腸→肝臓→胆嚢→膵臓→脾臓→小腸ざっくり→上行結腸〜直腸→腸腰筋→上行大動脈〜左右の総腸骨動脈→SMA、SMV

これで大体5-10分くらいです。順番はなんでもよいのですが、暇があれば全身をしっかり読影する癖をつけましょう。

自分なりに読影する→教科書を確認する→放射線科レポートを読む

大きな病院だと夜間休日に撮影された画像でも、翌日や休み明けに放射線科が読影レポートをつけてくれることが多いと思います。このレポートを「答え合わせ」として使用するのがおすすめです。

この時、できる限りレポートを読むに教科書やインターネットで自分なりの読影をつけてみると良いです。いきなり答えを見ると「ふーん」で終わってしまいがちで、この所見になる理屈を勉強できず、応用がきかない知識になってしまいます。

おすすめサイト

教科書での勉強ももちろんですが、画像診断の勉強をするならこちらのサイトがおすすめです↓(外部リンク)

画像診断cafe
画像診断Cafeへようこそ。こちらでは、実際の&#30...

読影のおすすめ教科書

CT読影レポート、この画像どう書く?

CT読影レポート、この画像どう書く? [ 小黒 草太 ]CT読影レポート、この画像どう書く?〜解剖・所見の基礎知識と、よくみる疾患のレポート記載例

今回最もオススメする教科書です。若手放射線科専攻医向けの教科書ですが、「何が正常か」というところを強調することで、「何が異常か」ということがわかるようになります。またレポートを書くという視点で勉強することで、それぞれの画像所見の意義を考える癖がつきます。

例えば当直終わりにその日の当直で撮影した画像をじっくり見てこの教科書をもとに自分なりにレポートをつけてみて、本物の放射線科のレポートを見て比べるという勉強をやってみると1年後には相当な力がつくと思います。

オススメ度:★★★★☆
レベル;全ての研修医
タイプ:読み物

レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室

レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室第2版 ベストティーチャーに教わる胸部X線の読み方考え方 [ 長尾大志 ]

胸部レントゲンの勉強をするならこの教科書がおすすめです。

研修医の皆さんはこれから無数の胸部レントゲンを見ていくことになります。どうせ大量の画像を見るのであれば、早めに正しい読み方を学んでおくとよりスムーズに力を付けることができるので早めの着手がおすすめです。

内容としてはまず「白くなる病態」か「黒くなる病態」かで分け、レントゲンで白くなるもの=水→水が増える病態ということは、、、というような流れで解説が進んでいきます。特別小難しい解説やごく稀なものについての解説はなく、実臨床ですぐに活かせる内容が豊富です。

オススメ度:★★★★☆
レベル:研修医〜若手専攻医
タイプ:読み物

ちなみに呼吸器内科、感染症内科を目指すような人は 胸部画像診断の勘ドコロ という教科書がさらに深掘りしてていい感じです。

癌の画像診断、重要所見を見逃さない


癌の画像診断、重要所見を見逃さない〜全身まるごと! 各科でよく診る癌の鑑別とステージングがわかる

当直中に肺炎の疑いでCTを撮ったら甲状腺に腫瘤がみつかった、というようなことは結構多いです。そういう時のアセスメントで頼りになる教科書。研修医のうちは基本的に主治医ではないので責任は上級医にありますが、3年目以降にたまたま見つかった腫瘍を患者に伝えていなくて後日訴えられて負けるなどということもありうる。そしてたまたま癌が見つかるということ自体は珍しくなく、臨床で役立つのは間違いない。

オススメ度:★★★☆☆
レベル:全ての科、特に外科
タイプ:読み物、辞書

画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン

画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン 〜病態を見抜き、サインに気づく読影のコツ

画像診断に絶対強くなるワンポイントレッスン2〜解剖と病態がわかって、読影のツボが身につく

もともとはレジデントノートで人気のコーナーであった画像診断の部分を単行本した物。脳の血管師範領域や肺血管、気管支分岐についての記載が豊富であり、研修医レベル〜放射線科専攻医レベルまで対応できる教科書です。

解剖を理解することで画像異常見つけられるようになるというのがコンセプトで、研修医1冊目の教科書としても適切です。②もオススメです。

オススメ度:★★★☆☆
レベル:研修医
タイプ:読み物

画像診断の勘ドコロneo


消化器 画像診断の勘ドコロNEO

ありそうでなかった、臓器ごとの画像診断の教科書です。消化器、頭頸部、泌尿器、婦人科、血管などがあり、自分の専門領域だけでも読んでおくと放射線科医と議論ができてよさそうです。

オススメ度:★★★☆☆
レベル:専攻医
タイプ:読みもの、辞書

胸部のCT

胸部のCT 第4版

腹部以上に奥が深いのが胸部のCT。放射線科、呼吸器内科志望ならかなり深いところまで知識が要求されます。その点では本当にがっつり勉強したいならこの教科書が有名です。ただ多くの人にとってはオーバーワークでしょう。

オススメ度:★★☆☆☆
レベル:放射線科志望
タイプ:読み物

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