まず結論。とりあえず研修医のための見える・わかる外科手術〜「どんな手術? 何をするの?」 基本と手順がイラスト300点でイメージできるを買っておけばOKです。
外科の勉強法
初期研修の鬼門ローテート、それが外科。外科志望でもないのに長時間のオペに入らさせられ、カンファでぼこぼこにされる。。。
とはいうものの、内科に進むとしても外科の研修というのは実は役に立ちます。胆嚢炎のCTを見て手術所見を見れば胆嚢炎の見逃しは減るし、消化器の術後の経過を診ることで消化器術後患者というだけでビビらなくて済みます。こういった意味で非外科志望の研修医こそ外科研修を有意義に過ごすために座学を頑張ってほしいです。
外科・消化器外科のおすすめ教科書
研修医のための見えるわかる外科手術
研修医のための見える・わかる外科手術〜「どんな手術? 何をするの?」 基本と手順がイラスト300点でイメージできる
研修医向けとしては最もおすすめできる教科書です。各術式の手順が簡潔にまとめられており、処理する血管を覚えておけば、オペ中に上級医から突然「この血管なに?」と聞かれても答えられたりします。
非外科志望からすると「今何をやっているか」が分かると苦痛なオペ見学が短く感じますし、内科医としても手術所見とCT所見を実際に比較する経験は非常に重要です。個人的には、手術はできなくとも外科的視点を持ち合わせていることは一流の内科医の条件だと考えいてます。
外科志望からするとこれだけでは執刀させてもらうまでの勉強は出来ませんが最初のローテートには有用なのでおすすめです。
また手術を理解したいオペ看にもおすすめ。
外科志望:★★★★☆
非外科志望:★★★★★
オペ看:★★★☆☆
タイプ:読み物(手術に入る前に該当手術の部分を読んでおく(10ページくらい))
ブラッシュアップ急性期外科
ブラッシュアップ急性期外科 Brush up Acute Care Surgery
救急のおすすめ教科書で紹介したブラッシュアップ急性腹症;ブラッシュアップ急性腹症 第2版の姉妹本です。消化器外科のメインはやはりPDやVATSといった派手な癌の手術を思い浮かべてしまいますが、実際に研修医、専攻医がメインで携わるのは急性虫垂炎や急性胆嚢炎、絞扼性イレウスといった緊急手術です。
この教科書はブラッシュアップ急性腹症と同様、明確なエビデンスを明らかにしながら、さまざまな急性期外科疾患の解説が記載されています。エキスパートオピニオンが多めとなる外科系領域においてこれだけエビデンスの記載が明確な教科書は珍しいです。消化管穿孔はすぐに手術しないとどうなるのか?癒着性イレウスのベストの手術のタイミングはいつか?といったことを、文献的根拠をもとに解説しています。この教科書できっちり勉強すれば外科の上級医との議論に参加できるようになるかと思います。
外科志望でなくても、その後の経過や治療戦略の考え方を知っていることで初期対応やコンサルトのクオリティが変わってきます。非外科志望にもおすすめの教科書。
外科志望:★★★★☆
非外科志望:★★★★☆
タイプ:読み物
癌取り扱い規約抜粋 消化器癌・乳癌
これ、あまりおすすめされているのを見ませんが、カンファレンスで役立ちます。消化器外科志望なら必須なので早めに買ってしまっても良いかと思います。ちなみに化学療法まで研修医に求めてくる病院は少ないのでケモの教科書は不要です。
外科志望:★★★★★
非外科志望:★★★★☆(上級医から借りれば良さそう)
タイプ:辞書(カンファレンスの資料作成、カルテの読解に)
イラストレイテッド外科手術
イラストレイテッド外科手術 第3版 縮刷版 膜の解剖からみた術式のポイント
外科全般の術式について「やや深く」載っている教科書。消化器外科の手術書はふつうは″胃の手術で一冊″、″ヘルニアで一冊″というものなので、研修医の時点で買って読むのはさすがにオーバーワークだしもったいないです。この教科書は「外科全般」を「広くやや深く」学ことができます。外科の先生によると実は術式としては5年は古いらしいんですが、基本的なことを学ぶにはちょうど良い「やや深さ」だと思います。
外科志望:★★★★☆
非外科志望:★★☆☆☆
タイプ:辞書
外科基本手技+応用スキル
切る・縫う・結ぶ・止める 外科基本手技+応用スキル[Web動画付]
縫合や糸結びの教科書。本気で手術が上手くなりたいなら名著。外科系志望であればおすすめですが、正直このレベルの知識や練習をしていない先生がほとんどです。心外志望向けの印象でした。非外科系志望であれば若手の外科医に聞いた方が早いです。
外科志望:★★★★★
外科"系"志望:★★★☆☆
非外科系志望:☆☆☆☆☆
タイプ:読み物
がん化学療法レジメンハンドブック
改訂第7版がん化学療法レジメンハンドブック〜治療現場で活かせる知識・注意点から服薬指導・副作用対策まで
外科の先生がよく使用していました。消化器外科医、ケモを担当する消化器内科医になるなら必須と思いますが、研修医レベルでは完全にオーバーワークです。
外科志望:★★★★★
非外科志望:☆☆☆☆☆
タイプ:辞書
ブラッシュアップ急性期外科
前述のブラッシュアップ急性腹症の続編(?)です。
急性虫垂炎の保存vs手術
癒着性イレウスの保存vs手術
といった内容で、前著が初療医の指針なのに対してこちらは外科医の治療戦略がメインです。外科専攻医におすすめですが、イレウスの手術タイミングはエビデンスがどうのこうのというよりもボスの”勘”で決まることが多いのではないでしょうか。このあたりは施設ごとのマンパワーや術後のフォローの仕方などにも影響されるので、内科とはやや考え方が異なるところです。
いずれにしても、前著のEBMを重視した姿勢を外科領域にも持ち込んだ名著と言えると思います。
外科レジデント&周術期管理に関わる医療者のための 外科周術期 掟と理論 総論編
周術期管理に関わる専攻医・外科病棟やICUの看護師にもおすすめの教科書です。内容としては初歩的なところから始まるので、外科志望なら学生のうちに買ってしまってもよいかもです。
外科レジデント&周術期管理に関わる医療者のための 外科周術期 掟と理論 総論編
以上になります。私は外科ローテが多めだったので比較的外科の教科書を多く読んでいました。ご質問やレビューがありましたらぜひDMでおしえてください。
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